絵空言 問答

絵空言




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死にゆく者たち

「あのさ、ちょっといいか?」
「あ?」
「なんかさ…変じゃね?」
「何がよ?」
「いや…何がっつーかさ…」
「わけわかんね」

「俺たちさ、いつからこうしてたっけ」
「はぁ?生まれた時からに決まってんだろが」
「まぁ、そうなんだけどさ、よくよく思い出してみるとさ、一度記憶が途切れてんだよね」
「んー、そうだっけか?」
「あー、わかるわかる、一度おかしなことがあって、それから何か変なんだよね」
「そうそう、前にすごく怖いことがあったような気がしてその後記憶がおかしいんだ」
「何だろう?」
「でも…とりあえず不都合ないからこれでいいのかなっと」
「そうだよね」
「わけわかんね」

「俺たちさ、何処に向かってんのかな」
「そりゃーあたしらは旅を続ける宿命だからさ、旅を続けるまでさ。
親父もお袋もそのまた親父もお袋も、ずっと旅を続けてきたんだ。
だからあたしらも旅を続ける。それだけだろ」
「そうなんだけどさ…」
「なんだよ、どうしたんだよ。
行き先なんて決まってるじゃないか。
俺らは季節と共に旅を続ける。
そんなことも忘れちまったとかやめてくれよ?
何か変な気分になることだってあるだろうけどさ、旅を続けるだけだろ?」
「うんうん、そうだよ、私らまだ子供も残してないじゃん。
旅はこれからだよ」
「旅が終わるのは、あたしらが死ぬ時さ。
それまでは終らないよ、絶対に」
「おまいら大げさすぎだろ」

「匂いが変わらない」
「それが何か?」
「いや…昔は季節によって変わったような気がするんだよ」
「確かにな…」

「いつの間にか増えたな…」
「聞いてみたんだよ、あいつらに」
「何を」
「なんで俺たちに合流したのかって」
「で?」
「それがさ、何か混乱している奴ばっかでさ…答になってねぇの」
「うーん…どういうことなんだろう…」

「…やっぱり変だ」
「またおまえか、うるせぇぞ」
「空を見ろよ、空を。
俺たち先に進むことばっかりに気を取られて空なんか見ないけど。
でも見てみろよ」
「はぁ?」
「俺、見たんだよ、空を。狂ってるぞ。
空がないんだ…ちょっと浮上して見て来いよ」
「うわぁああああ、何だこれは、どうなってるんだこれは」
「空だけじゃない、底もおかしい。
いつまでたっても同じままだし…」
「浅すぎる」
「あぁ…やっぱりそうか。僕が狂ってるわけじゃなかったんだ。
気にしないようにしてきたんだけど。
狂ってるのは僕らのいる場所なんだ」
「あたしら、何処に入り込んじまったんだろ…」
「なぁ、これは本当に…旅なのかな」
「やめて!私たちはいままでどおりに旅を続ける、それでいいじゃない!」
「騙されているのかもしれない」
「記憶が途切れた時に何かあったんだろう…」
「捕まって…閉じ込められた?」
「でもあたしたちずっと泳いでるよ?
閉じ込められたら、そんなの無理でしょ。
食べ物だってあるし」
「いや…もしも同じところを廻り続けているとしたら?
食べ物も…与えられているとしたら?」
「そんな…」
「あああぁあ、やっぱりダメだ。両側が壁だよ、これ。
此処は俺らの生まれた場所じゃない。
完全な閉鎖空間だよ、これ。」
「あぁ…なんてこったい…此処は何処なんだよ…」
「俺たちは同じところをぐるぐる廻ってただけなんだ」
「だからおかしかったのね」
「旅でも何でもないじゃんか…」
「悪夢だな」
「あたしらの旅がもう終わってたなら、あたしらの存在理由って…」


「何もないな」



「ごめん。あたしは耐えられない」
「待てよ、まだ決まったわけじゃ、あ、ちくしょう壁に自分の頭叩きつけやがった」
「決まったわけじゃないって、閉じ込められてるのは確かだろう?逃げ出せる見込みがないのも確かだろう?俺も逝くよ」
「おいふざけんなおまえ、おまえが騒ぎ始めたからこうなったんだぞ?逃げるなよ、おい待て…クソが」
「あいつが騒がなくてもいずれみんな気づいたろ。
私もやっぱりこのまま続けるのは無理かな…」
「って、おまいら決断早すぎだろ。
サクサク死んでんじゃねぇよ、ってまた死にやがった」
「ねぇ、なんで死ぬのよ、食べ物あるじゃない。
生きようと思えば生きられるのよ?
ねぇ、死ぬのやめてよお願いだから、死ななくたっていいじゃない!」
「そうなの?此処から生きて出られるとでも思ってるの?絶対的な幽閉の中で生き続けることにどんな意味があるの?」
「意味なんてなくたっていいじゃない!生きていればそれだけでいいのよ!」
「意味というのは、希望なんだよ。
意味の完全な喪失は、完全な絶望なんだ。
意味を失っても生きていられるような奴はね、意味を感じることもないような薄っぺらな生を送ってきた奴と、完全な絶望を通り過ぎてきた奴だけだ。
私はどちらでもないからね。…じゃあ、さようなら」

「知らなかった時は希望に満ちてたのにな。
わかった途端にこれかよ。
状況は何も変わってないのにな」
「おまえ…何か知ってんの?」
「私らを閉じ込めたのは、おそらく陸棲の二足歩行生物だろう。
仲間は奴らに大勢殺されてるね。
私らの閉じ込められた理由は別な処にあるんだと思うが。
たぶん、研究か鑑賞か…
奴らは此処を水槽って呼んでるようだ。
わかったところでどうにもならんけどな」
「ここから抜け出せる可能性はあるのかな?」
「…皆無、かと」
「そうか…知らない方が良かったのかな」
「それはなんとも」
「あぁあぁあぁ、みんな気づいちゃったじゃない、みんな死んでいくじゃない、昨日まではあんなに希望に満ちてたのに。
ねぇ、あなたたちは死なないわよね?わたしだけになるの、イヤよ?」
「おまえはどうすんの?」
「さぁ?」
「なんか死にそびれちまったな…」

・・・・・・・。

「なぁ、俺らは死ぬべきなのかな?」
「そんなことはないだろう」
「生きるべきだと?同じところを延々と回り続けるような、馬鹿げた生を」
「生きねばならないってこともないだろう」
「じゃあ、死んでもいいのかい」
「いいんだろう」
「わたしは生きるべきだと思うわ。
生きている以上は、死が訪れるまで生きる努力をすべきだと思う」
「なら、生きればいいんだろう」
「なんかあなた死んでるみたい」
「どうでもいいさ」
「おいおい、なんで生きる努力をすべきなんだ?
この幽閉が悪夢と同じだとは思わないのか?生きて一体何があるってんだ?
悪夢なら覚めるだけだろ。
生きてんなら死ぬだけじゃねぇか」
「そんなのは生きてみないとわからないじゃない。
わたしは生きるのが好きだし、死ぬのが怖い。
だからみんなみたいには死ねない。
わたしだけになっても、わたしは死ねないと思う」

「意味を失っても生きていられるような奴は、薄っぺらな奴と、完全な絶望を通り越した奴だけだってのはホントかな」
「どうだろうね」
「俺は別に濃く生きてきたつもりはないけどさ、薄っぺらとか言われたらムカつくね」
「図星だと怒るってのはよくある話だ」
「おい、もう一度言ってみろ。
俺が薄っぺらな奴だってのかよ」
「さぁ?」
「ごまかすな」
「他人がどう指摘しようと関係ないだろう。
要は、おまえがおまえをどう思っているかがすべてだろう?
自己欺瞞があろうとなかろうと、おまえにとっては、今思っているおまえがすべてだろう?」
「おまえは薄っぺらとか言われてムカつかないのかよ」
「そいつが誰かに向かって 薄っぺら と言う奴だってことが明らかになっただけじゃないのか。
わざわざムカつくのは労力の無駄だと思うが」
「どうも調子が狂うな…」

「おまえが薄っぺらなのかどうかは知らないが、死んだ奴が絶望に耐えられなかったのは確かだろう…絶望を超えて行けなかったのは確かだろう」
「絶望を超える?この状況で希望を見ろと?何処に希望があるんだよ」
「そんなの生きてみなきゃわからないじゃない」
「おまえは黙ってろ。
いいか?万に一つもこの水槽とやらから抜け出せる見込みはないんだぜ?
わざわざ生きなくたってわかるだろうが。
死ぬまでの飼い殺しだ。
生き続けることにどんな希望がある?」
「希望はない」
「じゃあ何だよ、絶望を超えるってのは」
「希望も超えるということだ」
「は?」
「希望とは想念ではないのか?
その想念が阻害される事が絶望なのではないか?
一切の希望がなければ、一切の絶望はない」

「そんなの卑怯よ、そんなの全然生きてないじゃない、ただの死体じゃない!
生きるってのは希望と絶望の狭間を揺れ動くことでしょう?
希望も絶望もないんだったら、そんなのは生きてるなんて言えないわ!」
「だからさ、今の俺らにはその希望がないんだわ。
だから死の妥当性を考えてんだろうが」
「希望がないとは限らないじゃない!」
「いやいやいや、現実を見ろって」
「希望を待ち続けるのか、絶望に死ぬか、希望も絶望も捨てるのか。
好きにすればいいのだろう」
「やっぱりあなた死んでるようにしか見えないわ」
「私は生きることを語っているわけではないからね。
生の側にいる君から見れば死にも見えるだろう。」
「あなたの言ってることはただの屁理屈よ。
全然理解できない」
「そう見えるなら君にとってはそうなんだろう。
…私には君の言う希望というモノが何なのか全く理解できないが」

「俺は絶望を超えて行けるのかな」
「それはおまえ次第だろう」
「あんたはどうなんだ?」
「さぁ?」

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  1. 2015/02/16(月) 20:34:35|
  2. お話

年末の木花咲耶姫命

年明けに初詣に行くと、混んでる。
なので年末だが初詣に行ってきた。
いや、これでは初詣とは言わないな…
まぁ、とにかく参拝してきた。

多摩川浅間神社。
御祭神は木花咲耶姫命(コノハナサクヤヒメノミコト)。
天気の良い日であったが境内に人影もなく、機械仕掛けの笙の音が淡々と流れている。
機械仕掛けであっても、嫌いじゃないけどね。
で、いつものように手水舎で手を清め、忘れないように先に末社に挨拶した。
順序としては逆なのか?
まぁ、あんまり細かいことに拘る神様でもあるまい…


拝殿に伺うと木花咲耶姫は本殿から出て来られていて何か考え事をしておられるようだった。

「ご機嫌いかがですか、姫神様」
「なんだ、おまえか。何用だ」
「そりゃー勿論、姫神様のご機嫌伺いに」
「ほほぅ、ご機嫌伺いとな。おまえが来たらあたしの機嫌がよくなるとでも思っておるのか」
「いえ、そんな」
「むしろ悪くなるかもしれんな」
「姫、何かあったんですか」
「おまえの知ったことじゃーないんだよ」
「なんかホントに怒ってます?」
「いや」
「とりあえず参拝させてください」
「勝手にしろ」

(えーっと、二礼二拍手一拝っと…)

「いや、ひふみ祝詞は奏上しないでよいぞ」
「あ、姫、先にそれを言われてしまうと」
「おまえのは聞き飽きた」
「じゃあどうすればいいんですか」
「おいおいおい、そんなのは~てめえで考えてくださいなっと」
「はい。
 ・・・・・・・・・」
「あはははは、沈黙か、無を捧げてくれるのか…ん、これは…違うな…」
「・・・・・・・・・」
「きさまぁ、舐めてんのか?このあたしに虚無を流し込もうなどと100万年早いわ、虚無で遊ぶってのはこうやるんだよ!倍にして返してやろう!」
「ぬぁあああ、くぅう…まさか倍返しにされるとは…頭が割れるぅ…」
「ちっ、下手な芝居はやめろ、この程度の虚無で弾け飛ぶような頭でもないだろうが」
「すみません」

「おまえさぁ、あたしの気を紛らわせてくれようとするのはありがたいけど、無理すんな。
ヒト並みに願い事でもしてさっさと帰れ。
そういやおまえの願い事って聞いたことないな。
たまには願い事でもしてけ。気が向いたら叶えてやらんこともないぞ?ん?金か?出世か?お嫁さんか?おまえに結婚は向いてなさそうだけどな、ははは」
「願い事…ですか。えーっと…んーっと…」
「うお、まぢか。ホントに困ってんのか、おまえ。
前から思ってたけどつくづく変な奴だな…願い事もないのか。何でもいいから適当に言っとけよ」
「う、うむ。じゃあよくわかんないから、神様の御心が為されますように!」
「・・・・・・・。
たまにな…そう願っていく奴がいるが。いいんだな、それで」
「はい」
「ほんとーに、いいんだな?御心の内容は問わないんだな?あたしの勝手にしていいんだな?」
「…はい」
「よーし、よーし、よーし。あたしは念を押したからな。
それでおまえは了承したんだからな。
何が起きようと一切を受け入れるってことだぞ?ふはははははは。それが神を信ずるということぞ。はは、決心がついたぞ。解決解決♪
ん、おまえはもう帰ってよいぞ?」
「はい…」

姫神様は嬉しそうに本殿へと戻って行かれた。

私は一人残されて呆然とする。
ちょっと待て…何が解決なんだ?
そういえば私が来たとき、姫神様は何かお考えになっておられたな…
それが解決したと?
一体、何をお考えになっておられたのか。何の決心がついたのだろう。

境内には相変わらず誰もいない。
空は青く、風は冷たく、世界は何も変わっていない筈だった。

「何が起きようと一切を受け入れるってことだぞ?」

神様の事だから、悪いようにはなさらないだろう…私はそう思う。
ヒトの視線と神様の視線が同じだとは限らないけれども…きっと巡り巡って悪いようにはなさらないだろう…


でも、もしかしたら私はこう願うべきだったのかもしれない。

「今年が平和だったと言われた最後の年になりませんように…」と。

  1. 2014/12/30(火) 18:00:00|
  2. お話

とある審議会の定例議事録

ちょっと書いてみた。
前提としてヒトの会話ではないので、非人間的でもあしからず。
読んで不快になる可能性もなくもないのでそのつもりで。

・・・・・・・・・。
辺境領域開発審議会:惑星管理委員会と生物管理委員会を包括する部署。
惑星管理委員会:各惑星における生態系の導入、管理を主な任務とする。
生物管理委員会:各惑星における支配種のルーシュ生産、精製、運用を任務とする。


辺境領域開発審議会(以下、審議会)
「定例議会を始める。優先する議題がある場合は申し出ていただきたい。」

惑星管理委員会
「最近、惑星δ(デルタ)における生態系の崩壊が著しい件を、議題として提出する。」

生物管理委員会
「…異議なし。」

審議会
「了承した。」

惑星管理委員会
「惑星δにおける生態系の加速的崩壊の原因は現生支配種による惑星規模の商工業化であることが明確になっている。
このままでは、惑星規模の緻密な生態系が根本から崩壊し、再構成が著しく困難、若しくは不可能になる恐れがある。
早急に干渉する許可を願いたい。」

審議会
「具体的な干渉内容は。」

惑星管理委員会
「支配種の頭数の大幅な削減を希望する。」

審議会
「惑星δにおける支配種の管理は生物管理委員会の下にあるが。」

生物管理委員会
「確かに現在惑星δの生態系の崩壊は加速度的に進行しているが、δは現在ルーシュの主要生産地であり、頭数削減によりルーシュ生産が決定的に損なわれるのは望ましくない。
生態系の崩壊は、支配種自身をも害する結果になるため、支配種自身に解決させるよう操作することにしたい。」

惑星管理委員会
「それはつまり、支配種を優良化すると?
支配種を劣化させたのは生物管理委員会が極秘に行ったことだと当方は認識しているが。
ルーシュ生産の効率を大幅に上げるため、支配種の知的、感情的能力に干渉し、これらを劣化させ、短絡的思考、視野狭窄、自我肥大に基づく自己中心的性格を強化し、結果、相互破壊能力の向上、居住環境への無関心を生み出した。
我々の調査部門が把握したところでは、生物管理委員会はδ時間10000年前より支配種への干渉を開始し、6000年前までには知的感情的能力の劣化を完了したということだ。」

【人類の知能は2000年~6000年前がピーク説 】
《アメリカ・スタンフォード大学のジェラルド・クラブトリー教授は、人類の知性(知的、感情的能力)が2000~6000年前をピークにして少しづつ低下している可能性があるという研究を発表した。
それによると、狩猟採取生活は一瞬の判断ミスで命取りになるため、知性、感情に安定性があるほど生存できる。
このような自然淘汰によりこの時期最も知性が高い状態であったが、農耕生活により知性、感情の不安定性が生死に直接関係しなくなり、知性は低下の過程にある、と見ている。
つまり、歴史の中で農業や都市が発明され、命が脅かされるリスクが減ったことで、知能の低い人間が淘汰される機会が減ったことが、人類の進化(脳の拡大)を止めた原因だという。
主張によれば、人間は狩猟採集社会として生きてきた時代に進化の99%が終了しているそうだ。
これは脳の大きさの変化で明らかだという。》

生物管理委員会
「・・・・・・・・・。」

惑星管理委員会
「そして生物の優良化は劣化するよりもはるかに困難であるから、今から干渉しても効果が表れ始めるまでに早くても2000年以上かかると推測される。
現在の惑星生態系の崩壊速度からすると100年も維持できないのは明らかであるから、早急な頭数削減以外に方法はないと提言する。」

審議会
「生物管理委員会、異議はありますか。」

生物管理委員会
「…異議なし。」

審議会
「では、削減方法の審議に移りたい。」

生物管理委員会
「核戦争に基づく核汚染でよかろう。その時点で発生が見込まれる大量のルーシュも回収できる。」

惑星管理委員会
「先ほどまでは支配種の優良化を求めていたのに、どういうわけですかね。
核汚染は認められない。結果的に生態系の崩壊までつながりかねない。」

生物管理委員会
「気候寒冷化による食糧削減はどうか。」

惑星管理委員会
「いや、食糧争いから戦争になり、結果、核が使用される可能性が極めて高いため、食糧削減も我々としては認められない。」

生物管理委員会
「いや・・・・・・・・・。」

審議会
「発言は明確に。」

生物管理委員会
「いや、その、つまり…気候変動計画はすでに開始している。
惑星δをルーシュ生産効率の飛躍的上昇の実験地に指定し…」

惑星管理委員会
「その実験地指定は、審議会の許可を受けたものなのか?」

生物管理委員会
「当方としてはそのような許可は必要ないと認識している。」

審議会
「続けて。」

生物管理委員会
「気候変動計画において、惑星δの磁極を調整 したのだが、恒星αとの相互作用によりδの極移動 の可能性が極めて高くなった。」

惑星管理委員会
「我々の許可なしに、…連絡もなしにδの磁極を調整した…だと?」

生物管理委員会
「ルーシュ生産に関する計画は一括して我々の管理下にあると認識している。」

審議会
「その件については、別件として後日改めて審議したい。
つまり生物管理委員会は、ルーシュの生産向上のための実験として気候変動を予定し、結果、極移動の可能性が高まったと。」

惑星管理委員会
「それをごまかすために核汚染を考えたな?
核汚染で支配種を消去して、気候変動計画を極秘裏に葬って極移動の件は感知していないフリをするつもりだったか。
違うか?
優良化を開始したところで、間に合わなかったと嘯いて核汚染で消去するつもりだったんだろう?」

審議会
「憶測で発言しないように。
只今の問題は、惑星δの支配種の処分についてだ。」

生物管理委員会
「現状として、このまま放置した場合の支配種の頭数減少についての我々の予測としては、
戦争及びまたは原発事故による核汚染にのみ基づき削減される可能性は37%。
極移動に基づく気象変動、地殻変動にのみ基づき削減される可能性は24%。
核汚染及び極移動の双方に基づき削減される可能性は31%。
その他、不確定要因として8%。」

惑星管理委員会
「核汚染は惑星生態系の維持を前提とした場合、望ましくない。
核汚染開始以前に頭数削減に着手することが求められる。」

審議会
「ならば第二支配種の導入を提案するが。」

惑星管理委員会
「現支配種との間で核戦争にならないか。」

生物管理委員会
「導入に先駆けて致死性ウイルス を頒布し頭数を減少させておけばよい。
著しい効果があれば第二支配種導入の手間も省ける。」

審議会
「惑星管理委員会、異議はありますか。」

惑星管理委員会
「異議なし。」

審議会
「では以下のように決定する。
惑星δ支配種の削減は惑星δ時間20××年より開始する。
第一段階として、致死性ウイルスの頒布。
第二段階として、第二優勢種の導入。
ただし、第一段階のみで著しい効果が認められた場合、状況推移を確認しつつ第二段階は留保する。
また、第一段階効果発現前に、核汚染及びまたは磁極移動が生じた場合も第二段階には着手せずに状況推移に応じて対応することとする。
なお、最終的に少数の残存が予測される現支配種は、再び惑星生態系を破壊しないように、脳機能を無害に改造するものとする。
改造には非致死性ウイルスを使用する。
このウイルスは遅効性で、最終的な脳機能の完全無害化までに時間がかかるため、支配種削減開始に先駆け、直ちに頒布するものとする。

【「頭を悪くさせるウイルス」に44%の人が感染していたという事実が発覚 】
《感染すると脳の海馬に影響を与え、人間の認識能力を低下させるウイルスの存在が報告されました。
調査では被験者の44%が感染していたこのウイルスの感染経路は不明で、人体には「無害」であるとのこと。》

以上でよろしいか。」

惑星管理委員会
「異議なし。」

生物管理委員会
「…異議なし。」

  1. 2014/11/15(土) 18:00:00|
  2. お話

別れ道

実在の地名とは一切、無関係です・・・




続きを読む

テーマ:奇妙な物語 - ジャンル:小説・文学

  1. 2013/04/27(土) 07:42:21|
  2. お話

道標の先



お前は 
あの標識を見たのだろう
あの道標を見たのだろう
だから お前は 此処まで来たのだろう

なのにお前は此処で何をしている
こんな処に いつまで沈んでいる

泥濘(ヌカルミ)にしゃがみ込んで何をしているのだ
吹き溜まりに 倒れ込んだままでどうするつもりなのだ

これで 終わりだとでも 思っているのか

兆しを見たのなら   進め

泥まみれでも構いやしない
心臓まで凍りついていたとしても構うものか
そんなものは 全部 関係ない
邪魔なら 荷物は捨てて行け
つまらぬしがらみは捨てて行け

誰の為  でもなく 
ただ  自分の為に 


あぁ  わかってるんだ
わかってはいるんだよ  俺は

それは生きることではなく
死ぬことでもないと


ならば お前は
今更 何を迷っているのか
まさか引き返せるとでも思っているのか

渡って来た橋は とうの昔に崩れ堕ちた    断崖の底に

今更 何を懐かしんでいるのか
まさか取り戻せるとでも思っているのか

乗って来た舟は とうの昔に呑み込まれた    深淵の底に

なのに お前は
いつまで 立ち尽くしているのか
いつまで 来し方を振り返っているのか

お前が 歩かなければ
お前は 進まない

お前が 進まなければ
お前は そのままだ

当たり前のことだ


わかってる

俺には わかってるんだ

ただ 進むこと
それが生きることであり
死ぬことであると

そして 

その先にあるのは

生きることではなく

死ぬことでもないのだと



テーマ:ヒトリゴト - ジャンル:小説・文学

  1. 2010/10/20(水) 20:38:55|
  2. 空言
  3. | コメント:0

ただですら暑苦しいのに 頭の中が 五月蝿くて煩くてウルサくて 僕は絶叫する




「私という存在が かつて意味を持ったことが  あったろうか?」

「意味って  何?」

「目的に対する有用性」

「目的って  何?」

「欲するところのモノ」

「誰が欲しているの?」

「自分」

「意味って欲望の別称?」

「欲望の別称は目的   目的があるってコトは欲望があるってことだね    
意味があるというのは自分の欲望の役に立つってコトだね」

「・・・本当に?」

「何を言っているんだ? 意味があるってのは 楽しいってコトなんだよ    楽しくないってのが無意味なんだ
人生の意味とか宇宙の目的とか記述できるようなモノなど何もないよ」

「・・・そうなの?」

「存在に目的がないなら 間違いというモノは何処にもないな
目的がないなら 目的に反するコトもできないから
快不快   好悪   あるのはそんなんばっかだな」

「善悪は?」

「『道徳は便宜の異名である。“左側通行”と似たものである。』ってコトだろ?」

「善悪はアポステリオリ」

「アプリオリなのは?」

「存在?宇宙?それとも俺やおまえの認識?」

「それは全部同じコトだから その目的さえわかれば意味がわかる」

「記憶の最果ては忘却の彼方 
死の果てを見通すコトも出来ぬ
目的などわかろうはずもない」

「わかり得ぬコトと無いのは同義か?」

「あると思う  というのは  妄想」

「希望  とも  言う」

「なければならぬ理由が無い」

「アプリオリな目的を探し給え  
宇宙の・・・存在の 目的と意味を見つけ給え
きっと見つかるから  それが君の人生の目的だ」

「ウソつきめ」

「あんたにとっては 
あんたが楽しいか  楽しくないか
それだけなんじゃないのか?」



「あぁあぁあぁ いい加減に意味や目的から自由になりたい」

或る日 僕はそう思ったので
生きる意味や生きる目的を 
きれいさっぱり  捨ててみた

だいぶ楽になったので
これならもうしばらく
生きていけるかもしれないな  と
思いました


テーマ:ヒトリゴト - ジャンル:小説・文学

  1. 2010/08/11(水) 19:35:16|
  2. 由無事
  3. | コメント:2

君の結婚と僕の結論

「気にしてる?」

「いや、全然」

「残念だったわね」

「いや、別に」

「ウソツキ」

「ホントだよ、全然平気」

「だって あなた冷たかったじゃない」

「別に嫌ってたわけじゃないよ」

「ホラね。でももう手遅れだけどね」

「違うってば。後悔なんてしてないよ。君がそれでいいなら、他のことはどうでもいいんだよ」

「で、あなたはいつまで経っても独りぼっちw」

「余計なお世話だww」
 
 

テーマ:恋愛詩 - ジャンル:小説・文学

  1. 2010/05/11(火) 23:29:17|
  2. 詩のやうな
  3. | コメント:0

んーと、えーと、わかんねぇ…

「世界とは何ですか?」

「共同幻想だよ、おまえらの」

「キミの価値観」

「あたしにはわからないな」

「認識されたもの」

「あなたが認識したと信じているすべてのもの」

「神様が創ったの」

「は?」

「だから、共同幻想だっての」

「幻想じゃないでしょ、証明は出来ないけど」

「現実とか事実とか、あんたが思っている以上に曖昧なもんなんだぜ?」

「私にはわかりません」

「考えてみろよ、記憶とは何か?時間とは何か?一度真剣に考えてみな」

「おまいら、それで本でも書けよ」

「でも認識を離れた現実というものはあると思うよ」

「証明は出来ないけどな」

「仮にあったとしても関係ないけどな」

「絶対不可知です」

「人間の知覚機能は限定され過ぎているんだよ」

「認識がすべてです」

「じゃ、認識って何だよ?あ?言ってみろ、こら」

「おまえだよwww」





テーマ:詩・想 - ジャンル:小説・文学

  1. 2010/03/30(火) 21:50:21|
  2. 由無事
  3. | コメント:0
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