絵空言




迷ひ道

ふらりふらりと闇の中
僕は何処へ行くのでせう
ふらふらふらりと風の中
移ろふばかりの此の世の果てに
僕は何を探してゐるのでせう

ふらりふらりと尾根道を
僕は何処へ行くのでせう
ふらふらふらりと風任せ
当てなき此の世の旅なれど
僕は何を信じてゐるのでせう

いつか何処かに辿り着けると信じてゐるのでせうか
それは
帰れる処でせうか
居場所でせうか
安息の地でせうか

あゝさう云ふ物は何処にもないとわかつてゐるのです
僕が愚かな夢を見てゐるだけなのだとわかつてゐるのです

僕には何もないのだと

それでも僕は
ふらりふらりと光を尋ね
ふらふらふらりと深淵を覗き
何を探してゐるのでせう
何処へ帰らうと云ふのでせう…



  1. 2016/12/21(水) 22:12:41|
  2. 詩想

昏迷

何もわからなくなつた
喜怒哀楽も
生きる事も死ぬ事も

人間が何で
生命(いのち)が何かも

僕が何で
此処が何処で
今がいつなのかも

光も闇も
神も世界も

何一つわからない
微塵もわからない

存在宇宙と云ふ何かがあるばかりで
或いは
移ろふ僕と云ふ何かがあるばかりで

ただゐるだけで
でもそれが本当にゐるのかどうかもわからなくて

僕は何も知らない

  1. 2016/12/18(日) 10:31:20|
  2. 詩想

無何有の住人

光の住人
闇の住人
どちらにも住めない僕は
たぶん無意味な無何有の住人

此の世の住人
彼の世の住人
どちらにも親しめない僕は
たぶん空虚な虚空の住人

さう云ふ僕は存在世界のアンチテーゼ
それが僕のレーゾンデートル

何も不都合はないけれど
別に哀しい事もないけれど
君の世界に触れられないのが少し寂しい

  1. 2016/12/15(木) 19:03:01|
  2. 詩想

僕は誰だい?

成れの果ては虚ろなペシミスト
思考の末に陽気なニヒリスト
さうしていつまで経つても夢を見てゐるアナキスト

「君は誰だい?」

夜道をトボトボ歩く者
白い街灯は間もなく消える

さうして蒼い空に世を忘れ
宇宙の果てに嗤ふだらう

「ならば君は何処から来た?」

何処からも

「何処へ往く?」

何処も彼処も在りはしない…

  1. 2016/11/06(日) 22:16:14|
  2. 詩想

ゴルディアスの結び目

どうにもかうにも
僕の心は手に負へない

ゴルディアスの結び目のやうに
きつく固く結ばれて
どうにもかうにも解きほぐせない
どれほど刃を突き立てても断ち切れない

その結び目が全てを拒絶するのだ
人間の全てを
世界の全てを 
僕から断ち切らうとするのだ

冷ややかに纏はり付く闇となつて
僕の思ひを侵蝕し
僕の世界を絞め殺さうとする

僕は為す術も無く
侵蝕され息絶えてゆく僕の思ひを見てゐる


さうして全ての係累が断ち切られてゆく
僕に何ができると云ふのだらう


さうなのだ…
この結び目は僕なのだ

解きほぐせるわけがない
刃で断ち切れるわけもない

僕はただ
僕が僕を呑み込み消し去つてしまふのを
見てゐることしか出来ない


  1. 2016/10/25(火) 20:24:36|
  2. 詩想

散りゆく季節


彼方を見つめ
生と死を 遥か後ろに
三千世界の尽き果てる処
虚空の淵に立ち 途方に暮れてゐる

さうして足元の小石に蹴躓いて 僕は目を覚ますのだ

冷たい雨が通り過ぎ
金木犀は 疾うに散り失せ
沈丁花の まだ咲く筈も無く
流れゆく人波の中で
僕は居場所を見失ふ

僕と云ふ何かは
僕と云ふカタチを地上で再構成することに失敗し
陽炎のやうに彷徨つてゐる

どうして僕に居場所などあるだらう
どうして僕に帰る場所などあるだらう

どうして僕と云ふ何かの存在する余地があると云ふのだらう

僕と云ふ何かが居ないのなら
安息の地など 有る筈もなく

煌めき輝く世界は 再び 僕の手を擦り抜ける

さうして僕は 手を伸ばす事すらせずに見つめてゐるのだ

この町並みも
この喧騒も
馴れ親しんだ人々も
遠く遠く 触れる事の叶ひ得ぬまでに遠く
霞と消えゆくのを見つめてゐるのだ

僕の前には唯 茫漠たる虚空が開け

僕は塵へと還元され

風に溶け

虚空へと消える…


  1. 2016/10/13(木) 21:40:49|
  2. 詩想

深淵


僕は 深淵を覗き込んでゐるんだ

世界に背を向けて
屈み込んで 深淵を覗き込んでゐるんだ

振り返れば いろんな何かが見えるんだらう
だつて其処は世界だもの いろんな何かが在るんだらう

懐かしい何かが 少しだけ
金木犀の香り それから沈丁花の香り

愛しい何かが 幽かに少し
たぶんもう 全部思ひ出

それから理不尽な何かが 腐るほど
どうでもいい雑多な何かが 山のやうに
これらはいつまで経つても無くならない

でも 僕はもう そんな世界なんて知らない
世界なんて忘れてしまつた

だから 振り向かないで 僕は深淵を覗き込む

此の闇
深く 何処までも透明に澄んだ 闇
此の闇の奥に 僕はそのうち 溶けて消えるだらう

世界は浅く 薄く 希薄になつて 消えてしまふ



あゝ 誰だらう 
後ろで呼んでゐる気がするけれど

…たぶん気のせゐだらう


  1. 2016/10/02(日) 20:45:10|
  2. 詩想

過剰

私は何を求めてる?
昨日のホントは今日のウソで
今日のホントが明日のウソで
私の気分はコロコロ変わる
私は私を信じれない

私は何を探してる?
昨日のウソは今日のホントで
今日のウソが明日のホントで
私の心は右往左往
何を信じて生きればいい?

いつの間にやらすべてがウソで
何をしようとウソだらけ

ただただ死だけがホントに見えて 私の隣で微笑んで
ただただ生は 遠くに見えて 霞んで見えて 私の手には届かない

あぁ神様
不足を申せと仰せにならずに
ただただ過剰を申せと仰せになりませ
されば私は申しましょう

私という存在が 過剰なのだと


  1. 2016/04/01(金) 21:07:00|
  2. 詩想

雲海

雲の下に何があるのかなどと
雲の下で何が起きているのかなどと
思い煩う必要はない

ただ 雲の上 遥か彼方に
星々を見上げることさえ出来るなら


何故なれば おまえの住処は
もはや下界にはないのだから

  1. 2015/12/12(土) 21:57:08|
  2. 詩想

虚無へ

みんなは遊びで忙しい
みんなは政治で騒がしい
みんなは仕事で慌ただしい

だから僕は
一人で 虚無を覗いていよう
此の漆黒を 凝視していよう


誰もが移ろう世界に夢中だから
誰もが消えゆく世界に真剣だから
誰もが僕を忘れるだろう

だから僕は
一人で 虚無に踏み込もう
此の深淵に
光を遠く 後にして
静かに
静かに
身を沈めていこう

深く

深く


深く…


  1. 2015/12/12(土) 21:41:37|
  2. 詩想

酒肴

ゆるゆると 死んでいこう
酒に酔いながら

ゆるゆると 生きていこう
山を歩きながら

もう何もかもが 知ったことでは無い
三歳苦難も 過ぎ行く景色
ミロクの世も 酒の肴

全てはただ こういうもので あるのだと

宇宙の明滅は 神の呼吸のような
知る人もなく 全てを包む
  1. 2015/06/16(火) 21:45:39|
  2. 詩想

生死の分別

あぁ 今日は何だか知らんが死にたい気分だ
何が何でも死にたい気分だ
でも自分で死ぬのも面倒だから
死神探すが見つかりゃしない

あぁ 今日は四の五の言わずに死にたい気分だ
滅多矢鱈に死にたい気分だ
困ったもんだが死にたいんだから仕方ない
思い残すことなんてありゃしない
あははと笑って死にたいもんだ

罰当たり?卑怯者?
首を切られるのやイヤだけれど
それでもやっぱり死にたいもんだ
何もかもが絶望通り越してバカバカしくて
面倒なばかりで何も実らない
俺は何をやっているのかと
自問すればするほど死にたくもなるさ

あぁ死ねないくせに死にたくて
死にたいけれど死ねなくて
いやはやどうにも死ねぬと分かっているから
ますます困る
ならば
さっさと生きる覚悟を決めりゃいいのに
いやはやどうにも死神探しをやめられない

生きるに生きれず死ぬに死ねぬ
生死の狭間の泥濘で
もがいてあがいてジタバタしても
やっぱりどうにも
生きるに生きれず死ぬに死ねぬ

はてさてどうしたものか考えあぐねて茫然自失

「もしも幽かにでも死にたいのなら
或いは生きたいのなら
そこには生死の分別がある

それを覚えておくように」

あぁ なんだよ
数日前に自分で書いたメモじゃねぇか
答は出てるじゃねぇか

生死の分別を落とせってさ…
  1. 2015/06/16(火) 21:41:32|
  2. 詩想