絵空言




小雨の中で

小雨の中 独り 
駅から続く人混みにまぎれ込む

巨大電光掲示板は 唐突に
1844年 北大西洋にてオオウミガラス絶滅 と告げる

彼等は誰も飛べなかったから
みんな殺されてしまった
みんな撲殺されてしまった
誰も生き残れなかった

今まで一体どれだけの血が流された?無造作に
今まで一体どれだけの命が奪われた?理不尽に

彼等の最期の物語を
あたしは思い出してしまった

信号が変わり 人波が動き出す

あぁ そうか
人間なんて いつ死のうと
当然なんだ

押されるようにのろのろと
交差点を渡りながら
あたしは呟いている

最後に残されたつがいと
一つの卵がどうなったのか
あたしは思い出してしまった

人間なんて いつ滅びようと
当然なんだ
それだけのことを 
人間たちはやってきたんだ

いつしか束の間の繁栄は翳り始め
そこ彼処から
軋む音が
歪みの解き放たれる音が
聞こえ始めているのだけど

みんなちゃんと聞いているのかい?

閾値はとうの昔に通り過ぎて
針はとうの昔に振り切れて
あたしらの前には
ただ残された結果だけがあり
ただ享受すべき結果だけがあり

みんなちゃんと気付いているのかい?

小雨の中 独り
センター街を歩きながら
あたしは思う

せめてあたしは いつでも死ねる
覚悟でいようと



テーマ:詩・想 - ジャンル:小説・文学

  1. 2010/03/06(土) 20:56:38|
  2. 空言
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何処へ?

腐った世界は
崩れかけ

先の見えない薄闇の中で
僕らはもがき続けている

僕らは何処へ行こうというのか
僕らは何を望んでいるというのか

行くあてなき旅は
地上を巡り尽くし
宇宙の果てに何を見出すのだろう

世界は移ろい
僕らはゆるりゆるりと死んでいく

時間は錯綜し
希望は潰え

世界はもう
元には戻らない

僕はここで何をしているのだろう?

ここは一体何処なのだろう?

僕は一体何なのだろう??

テーマ:詩・想 - ジャンル:小説・文学

  1. 2010/03/12(金) 21:02:52|
  2. 空言
  3. | コメント:0

何処に?

ある日私は尋ねた
ここは何処ですか?

彼は笑いながら応える
東京だよ  日本のね
君が来たがってたんじゃないか

私は尋ねる
日本は何処にあるんだろう

どうしたんだ?急に?
地球の北半球  太平洋の西だろ?

地球は何処に?
太陽系に

太陽系は何処に?
銀河系に

銀河系は何処に?
銀河団に

銀河団は何処に?
超銀河団に

超銀河団は何処に?

宇宙に

宇宙は何処に?


宇宙は  今  此処に


全ては  今  此処に


テーマ: - ジャンル:小説・文学

  1. 2010/03/12(金) 21:06:23|
  2. 空言
  3. | コメント:0

あたしはホントは死にたいんだ

あたしはホントは死にたいんだ
何でまだ生きているんだろう

あたしはホントは死にたいんだ
本気で本音で生きるなら
あたしは生きてちゃおかしいんだ

本気で本音で生きてないから
あたしはまだ生きている

本気を出さずに
へらへら笑って
嘘を生きている

本音を隠して
ごまかして
他人に合わせて
自分を殺して
偽わりを生きている

自分を生かすなら
あたしはもう死んでる

あぁ  そうか
いまだにあたしは死ぬのが怖い

いえいえ そうではないでしょう
あたしを繋ぎ止めているのは
微かな絆
あるような ないような
ホントに幽かな 人との絆

引きちぎれない 霞網
断ち切れない 蜘蛛の糸
そんなものすら切れないあたしに何が出来る?
ねぇ  あたしはあまりにも弱くて
あたしはあまりにも不確かで

あたしは ただ 死という本音を覆い隠して
嘘をつき続けて
いい人を演じ続けて
死ぬまで 本当に生きることすらできない

ねぇ そんなあたしは一体何処へいけばいい

ただ 死という本音を剥き出しにして
闇を見つめ続けて
虚無にまみれ続けて
あたしは狂い死にたい




テーマ:詩・想 - ジャンル:小説・文学

  1. 2010/03/19(金) 21:04:42|
  2. 空言
  3. | コメント:0

末期の景色

色褪せていく
すべてが
褪せていく

心のトキメキも
見慣れぬ風物も
ただただ
背景に溶けてゆき
すべては
塵の描く模様

あらゆるコトバは
虚ろに響き
ただ 永久(トコシエ)の
無意味に 木霊するのみ



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  1. 2010/03/26(金) 22:26:21|
  2. 空言
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転生

ある日俺は真面目に生きようと 思った
正真正銘 真剣に生きようと 思った
非の打ち所なく 完全に生きようと 思った

そう思った俺は まず意味を探しに出かけた
目的を知るため 旅に出た

俺の生きる理由を
俺の意識の目的を

宇宙の存在する価値を
世界が始まり
やがて終わるであろう意味を
俺は探した

意味が分かれば 
生き方が分かる
目的が分かれば
全てにおいて正しく行動できる
そう 思った 

意味を探して 俺の旅は続いた
密林の部族を訪ね
ヒマラヤに師を探した

転生を繰り返し
男になり 女になり 
宇宙の目的を探した

星々を巡り 
奇妙な生き物になり
存在の始まりを探した

行く先々で
俺は嗤われた
いつまでバカを続けるのかと

行く先々で
俺は感心された
よくもそこまでバカを続けられるものだと

感性は摩滅し
感覚は消尽し
この手が師に届くことはなく

俺はまたこの星に落ちてきた
何一つとして得ずに
より多くを失って

俺はまたこの始まりの地に
放り出された

一体俺に 何が残されているというのだろう?

今日もまた
俺は 絶望色に晴れ渡った空を
為す術も無く
ただ 見上げている


テーマ:詩・想 - ジャンル:小説・文学

  1. 2010/03/27(土) 13:15:09|
  2. 空言
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旅立ち

何処までも虚しく澄み切った蒼い空に
すべての記憶を沈めて
僕は旅に出る

やがて過ぎ行く雲が
その墓標になるだろう
 
二度と振り返ることなく歩むなら
白い月が
僕の道標になるだろう




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  1. 2010/03/28(日) 09:27:00|
  2. 空言
  3. | コメント:0

たとえば 明日とか

たとえば明日とか

世界が滅びるなら

私は解き放たれるのだろうか

しがらみから
煩い事から
この世から

解き放たれるのだろうか

私は 自由へ

私から 無へ




テーマ:詩・想 - ジャンル:小説・文学

  1. 2010/03/28(日) 21:05:30|
  2. 空言
  3. | コメント:0

んーと、えーと、わかんねぇ…

「世界とは何ですか?」

「共同幻想だよ、おまえらの」

「キミの価値観」

「あたしにはわからないな」

「認識されたもの」

「あなたが認識したと信じているすべてのもの」

「神様が創ったの」

「は?」

「だから、共同幻想だっての」

「幻想じゃないでしょ、証明は出来ないけど」

「現実とか事実とか、あんたが思っている以上に曖昧なもんなんだぜ?」

「私にはわかりません」

「考えてみろよ、記憶とは何か?時間とは何か?一度真剣に考えてみな」

「おまいら、それで本でも書けよ」

「でも認識を離れた現実というものはあると思うよ」

「証明は出来ないけどな」

「仮にあったとしても関係ないけどな」

「絶対不可知です」

「人間の知覚機能は限定され過ぎているんだよ」

「認識がすべてです」

「じゃ、認識って何だよ?あ?言ってみろ、こら」

「おまえだよwww」





テーマ:詩・想 - ジャンル:小説・文学

  1. 2010/03/30(火) 21:50:21|
  2. 由無事
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