絵空言 2010年09月

絵空言




此処にいるのは

何もかもが存在証明できぬ世界の中で

「考えているわたしがいることだけは 確かなことだ」

と  言ったヒトがいたらしいのだけれども

わたしがいることは

わたしにしてみれば

わけのわからぬ 記憶の積み重ねが

わたしを名乗り  わたしと自称している

ただ それだけのことで

思考が 何なのか

考えているのは わたしなのか

わたしと言えるほどのわたしはいるのか

わたしにはわからなくて

わたしというものは 過去にしかいなくて

此処には

わからなくなっている わたし

という 記憶のような

過去のようなものが  漠然と あるばかりなのです



例えば 今 認識されたことは

すでに過去で  すでに記憶で

今此の瞬間に 

あなたの記憶とわたしの記憶を

総てすり替えたなら

あなたはわたしの記憶で

あなたの世界に飛び込んで

あなたはあなたのままだけれど

変わってしまった景色に驚くでしょう

わたしはあなたの記憶で

わたしの世界に放り出されて

わたしはわたしのままだけれど

見知らぬ世界に困惑するでしょう



いくら考えても  考えた瞬間に

全ては過去になるから

此の計り知れぬ喜怒哀楽も

認識された瞬間に

何もかもが記憶になるから

それをわたしだと幾ら主張したところで

声を枯らして叫んだところで

その絶叫自体が すでに過去の遺物で

記憶に木霊して記憶を補完するかもしれないが

此処にいるのは

相変わらずの 得体のしれぬ 何かであって

わたしなどと名乗れる代物ではないでしょう

えぇ 記憶や 過去といったモノの 集積体が

わたしと言うのです

わたしが  わたしは  わたしを  わたしの

五月蝿いほどに  言うのです

でも それは 本当は もう 全部  昔の話になってしまっていて

今 此処にいるのは  やっぱり

わたしという昔話に困惑している 何かで

いいえ  その困惑も もう わたしという 過去の属性に過ぎません



だから 此処にいるのは

名のつけられない 何かで

名をつけたなら それは過去で

名前は ただの記憶で

名前は 付けられる端から過去になるから

その無色透明な  

まるで存在感のない  確かな存在は

名付け得られぬままに

今を 漂います




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  1. 2010/09/12(日) 17:25:25|
  2. 由無事
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午前三時の 踏み切りで


外灯の薄明かりの中に 

遮断機は 物憂げに 上がりっ放し


好き放題に繁茂した夏草たちは

黒々とした影を 静寂に 潜め

枯れ始めるのは いつにしたものかと

思案する


変わり果て  沈黙した夏虫たちが

土へ帰りゆくその傍では

秋虫たちが 鳴く


冷やかに纏わりつく風の中で

僕は線路に   立ち尽くし

深更の 闇に呑まれていたが

暗がりに消える 線路の向こうは

黄泉路に繋がる



始発電車が 動き始める前に

僕は  一歩

踏み出さなくてはならない


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  1. 2010/09/17(金) 21:18:11|
  2. 空言
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或いは真理の此の一面



「君は絶望しているのか」

絶望?
そんなモノは 知らない

「ならば君には 希望を与えよう」

思わせぶりの希望
幾重にも重ねられた期待
手前勝手な ただの妄想
そんなモノは いらない

「剥き出しの真実を知りたいか」

欲しない  望まない  要らない

「ならば 君には真理を 授けよう」

いらぬ いらぬ いらぬ

希望も絶望も
全てが 全て 真理に尽きて
あ あ あ  嫌だ イヤだ   い や だ
真理  真理  真理
あぁ あぁ あぁ    耐えられない

この醜い 真理
このおぞましき 真理

或いは 真理の 此の一面


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  1. 2010/09/18(土) 21:29:42|
  2. 空言
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どこかが病んでいるつもりはないが




希望

考えると
死にたくなる

そこには 何もないから



行く末

未来

思うと
発狂しそうになる


あまりにも 無味乾燥で





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  1. 2010/09/18(土) 21:37:01|
  2. 空言
  3. | コメント:0

闇の中


まだ 終りではないと

口癖のように呟きながら

出口の見えぬ夕闇を

歩き続ける

まだ 先があると

まだ 入り口に過ぎないと

自分に言い聞かせながら

ただ 前へ と  歩みを進める

過ぎた世界は  あまりにも遠く

今更 帰れる筈も無く

長く 果て無きかに思われた 先は

或いは短く

或いは  まるで    無きかのようで

進む意思すら 朧に溶けて

出口の見えぬ黄昏に

今日も 彷徨う



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  1. 2010/09/18(土) 21:40:27|
  2. 空言
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輪廻



幾千万の祈り

儚く 消えて

やがて死ぬるだけなのに

絶望的な努力を費やして

夢にしがみつき

明日にしがみつき

虚無は 増幅する


幾千億の願い

塵と砕けて

やがて滅するだけなのに

イノチ燃やして

記憶にしがみつき

過去にしがみつき

苦痛は増幅する


星は廻り

幾度生まれ変わろうとも

此処に あるのは

此の 空漠たる 眼差しでしかなく

そして

宇宙は増幅する



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  1. 2010/09/18(土) 21:44:10|
  2. 空言
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・・・本当にどうでもいい話

うーん

暫く休むつもりだったが

何か 更新してるね

しかも 何か 暗いような 気がする

まぁ あんまり こだわらないでください

いつまで続くか わかんないし

暗く見えるなら それはきっと気のせいだから

しかし何だかね

この疲労感というか 徒労感というか

どうにもいろいろ調子が狂う




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  1. 2010/09/19(日) 23:31:20|
  2. 日記
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空っぽ



空っぽ空っぽ

酒瓶が空っぽ

最後の一滴 呑んじまった

空っぽ空っぽ

哀しいな


空っぽ空っぽ

私が空っぽ

最後の一言 吐き出しちまった

空っぽ空っぽ

淋しいな


な~んてワケは ないけれど

本当に空っぽになれたら

どんなに楽なんだろう?




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  1. 2010/09/20(月) 20:06:54|
  2. 空言
  3. | コメント:1

例えば 一つの 返信の形

例えば
会社帰りに 坂の上から雲を眺めて

例えば
休日に 防波堤に打ち寄せる波を眺めて

此の瞬間の 此の雲も 波も
寸分違わぬ同じモノは 
此の数十億年  此の地上に 一度たりとも なかったろう
此の数百億年  宇宙の何処にもなかったろう

そんなコトを 時々 思います


風や気温  気圧や水温
重力  地磁気  蝶の羽ばたき
太陽風  群れなす魚  星の配置

無数の要素が 絡み合い 戯れ合い
此の瞬間の 此の雲を  創る


有限の要素の組み合わせは 
やはり 有限なのかも知れないが

その有限を見届けるには 
僕らは あまりにも 小さ過ぎて

でも 実際 それは 無限なのかも知れなくて

恐らくは  無限の可能性が
触れ合って 探り合って 此の瞬間の 波を 創り出す


雲も波も そしてすべてが 
此の宇宙で 一度きりの 創造

遠い時代  彼方の星  それぞれの瞬間に 一度きりの 風

揺れ動き 時に渦巻く 人の心も
また  そうなのでしょう

そうして 僕らは
此の無限の創造の渦の中で 
言の葉を 紡ぎ続けます

一度きりの  言の葉を・・・



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  1. 2010/09/21(火) 22:17:59|
  2. 空言
  3. | コメント:2

夢の名残り


いつかの夏の終わりに
誰かが あたしに尋ねたんだ

ヒグラシの鳴く並木道を 並んで歩きながら
誰かが あたしに尋ねたんだ


「こういう人生は どうですか?

生きるべきか 死ぬべきか
考えているうちに
あなたの人生は 終わりました(笑)」


あたしは
勝手なコトを
勝手な理屈で
勝手に考えているのが 好き

とは言え  
そういう人生には やはり さすがに
若干の虚しさを禁じ得ないと感じたんだ

思い出の中で 確かに そう思ったんだ



微睡むあたしは 少し笑って起きることにした

夏の名残りの ぬるい風がカーテンを揺らす

そうか あたしも もう少し 生きなきゃね

そういうことにして
今日は いつになく 弾む心で
玄関を出てはみたものの

目先に広がる茫漠たる世界を突きつけられた途端に
答えは もう 出ていたのだと  気がつきました

あの日から幾らも経たぬ日に
答えは もう 出てしまっていたのだと 思い出しました

今は ただ 何本だかの 何かの名残りが 
あたしの心臓に 絡みついていて
ただ  それだけのせいで
あたしが 未だに 此の世に 繋ぎ止められ 生きながらえて居ることも




そうして 今日も 此の世を少しばかり周遊してきました


「生きるべきか 死ぬべきか
考えているうちに
あなたの人生は 終わりました」


誰に言われたのか 考えながら






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  1. 2010/09/22(水) 20:43:07|
  2. 空言
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月明かりの下で


頬杖ついて考えていた
何か 足りないな

心の辺りに触れてみる

手応えがない

あー そうか  
こないだ自分で取り出して
捨てちまったんだっけ

心の中には 何もなかったから
誰もいなかったから
鎧みたいな   玩具みたいな
そんな 形だけの心は 要らぬとばかりに
あたしは千切って踏み躙って
土に擦り込んでやったんだ

かつて心のあった処に
空いた穴に
手を入れて探ってみる
何もないな

少し悔しかったので
腕まで入れてみる
何もない

不安になったので覗いてみる

真っ暗で 何も見えないね

心の中に いた筈のモノたちは
この穴の何処かにいる筈なんだ

脈絡なく 整合性なく 漂ってる筈なんだ

厚ぼったい 鎧みたいな 心から解き放たれて
まるで無防備に

薄っぺらな 玩具みたいな 心から逃げ出して
まるで自由に

あたしは穴を覗き込んで 目を凝らす
 
あぁ たぶん 遠くに見える あの光がそうなのだな

星のような  星雲のような

もう あたしの手は 届きそうもない

おめでとう
君たちは 心から自由になって
あたしからも自由になったのだね

あたしも君たちから自由になったよ

この埋めようのない空白だけを  抱え込んで



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  1. 2010/09/22(水) 21:22:49|
  2. 空言
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僕は


ネガティブ

マイナス

マイナス

ネガティブ

たまに

ニュートラル

たぶん そうなんだろう

自分じゃ そうは思ってないけれど

君の目には そう 映るんだろう

僕はただ 僕を生きてるだけで

他にはどうしようもできないだけで



他の生き方を知らないだけで


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  1. 2010/09/23(木) 19:50:43|
  2. 由無事
  3. | コメント:0

取り敢えず 今日も



今日も朝から鬱な気分ですが

取り敢えず  出発進行


雨が冷たいのは 嬉しいですが

楽しみにしていたサイトが

消えているのは  寂しいことだ


ゴミ捨て場で死んでいた シオカラトンボは

粉々になっていたけれど

それは まだ 私ではないし

それをゴミとは 私には 呼べない


今日も朝から躓いてますが

取り敢えず 出発進行



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  1. 2010/09/24(金) 19:19:45|
  2. 空言
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天球儀 ~惑星たちの織り成す角度について~



おまえは 時が過ぎれば
皆と同じになれると思っていたのか

おまえのすべての疑問が
氷解すると思っていたのか

それともおまえは 
疑問を疑問とすら思わなくなるほどに
鈍くなれるとでも思っていたのか

ただ歳を経るだけで 
誰もが皆  足並み揃えて
歩けるようになるとでも思っていたのか

おまえはそれ程までに
おまえを忘れてしまったのか


おまえは おまえの生まれた地の 
緯度と経度と海抜を  覚えているか

おまえの生まれた時の 星の配置と北磁極の位置を
おまえは 知っているのか

土星はどの星の宮にいた?
木星は黄道の何処にいた?
惑星たちは何処へ集合しようとしていたのか?

磁極は何処から来て 何処へ向かった?
忘却の上に示された方位磁針は何処を指していた?

外惑星を結んだ線と
内惑星を結んだ線の
交わった処にいたのは誰だ?
その交点と交差する小惑星の軌道を
一人で辿っていたのは誰だ?

月輪が 隠した星は 幾つの惑星を従え
日輪は 灼熱の中に 何を描いていた?


それらすべてを おまえは 忘れてしまったのか

それらすべてが おまえのすべてだったのに

おまえが それを忘れてしまったのなら 
誰がそれを 覚えているというのだろう
誰がおまえの行く末を 示せるというのだろう


今日の惑星たちの織り成す角度を読んでも  
おまえの力になりはしない

そうして おまえが 今の おまえであるように

たとえ すべてが わからぬままに 過ぎて行くとしても

天球儀が 示した通りに おまえは 生きていくだろう



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  1. 2010/09/25(土) 20:25:58|
  2. 空言
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否定的思考



絶望している限りは

まだ 夢を見ている

闇を見ている限りは

まだ 光を求めている


だから 俺は 絶望を認めない

夢を宿した 絶望を認めない


だから 俺は  闇を拒絶する

光を孕んだ 闇を拒絶する


もはや 再生の儀式は 要らぬ

裏腹な逃げ道を隠して忍び寄るモノたち

絶望よ  お前は希望の影だろう?

闇よ  光を光たらしめているのは  お前だろう?

だから 仮面をつけて うろつき回るのは 止めてくれないか

その二つの面を 曝け出すがいい

俺はもう お前たちを相手にしたくはないのだ


もはや  輪廻は要らぬ

明滅する絶望と希望

                   理不尽な 現実

繰り返される光と闇

                    不条理な 真実


要らぬ

俺には 要らぬ



俺には  この沈黙があれば  それでいい

例え それが 魂の 全き死を 指していたとしても



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  1. 2010/09/26(日) 19:36:39|
  2. 由無事
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足跡






俺の足跡は いつだって無様だ


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  1. 2010/09/27(月) 18:54:38|
  2. 由無事
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雨の夜に


詩を一つ   盗みました

冷たい雨の夜に 
街灯も無い 細い路地裏に 
それは落ちていました

夜遅く 僕は また一人になって
家路をゆっくり歩いていたのですが

あぁ 何か 明るいな 
風が緩んだな と思ったら

それが落ちていました



その詩は 通る人のための明かりなのでしょう

あまりにも柔らかく 優しく光っていたので
僕は 思わず手を伸ばしました

それは勿論 僕のための詩ではなく
過ぎゆくすべての人のためのモノだったのでしょう

傷ついた人  沈んだ人   失った人

誰もが 少しづつ 光をもらって 帰るのでしょう

その時 僕は いつも通りで
別に 傷ついていたわけではありませんでした
何かを失ったとすら 思っていなかったのですから

いつものコトが いつも通りに過ぎただけで 
いつもの一日が いつも通りに終っただけで



けれども
どうしても そのまま通り過ぎれなくて

僕は その詩を盗みました



理屈を捏ねるのが僕の仕事のようなモノですから

いつもの癖で 心は理屈や屁理屈を捏ね回します

その柔らかな光は 何を前提に
如何なる論理で 淡く光っているのか

無意識の前提というモノを拒否している僕には 合わないな

そう思ったのです



けれども
どうしても そのまま通り過ぎれなくて

僕は その詩を盗みました



僕が盗んでも 誰も気づかなかったでしょう

その詩は 僕の掌の中で光り始めても
相変わらず
路地裏で 柔らかな光を放っておりましたから

次に通った人を 優しく包み込んだことでしょう



そして

僕は それを 心に 滑り込ませたのです

光は 心を溶かし 闇夜の雨をきらきらと輝かせたのです

それは ほんの刹那の出来事でしたが

僕の足取りは  少しだけ  軽くなりました


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  1. 2010/09/29(水) 21:14:41|
  2. 空言
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