絵空言




この国を 思う

この国は綺麗な国だと思います
美しい国だと思います
山紫水明の国

ええ そう思います

けれども もしかすると
それは過去形で
語らねばならなくなるのかもしれません


いいえ すでに
過去形で
語らねばならぬのかもしれません


この国の私達は
この国にふさわしいのでありましょうか

私たちはこの国に
ふさわしかったのありましょうか


それはこの国が決めることなのでしょう


国と申しますのは
国土であります
息づく森であり鳥であり
獣であり虫たちであります
天津神国津神八百万の神たちであります

祖霊であります

風であり 水であり 火であります
天 地 星 空 山 河 峰 谷 雲 霧 であります
苔むす岩室であります

この国の森羅万象であります


私たちはこの国にふさわしく生きてきたのでしょうか

魚たちが死んでいきます
燕たちが死んでいきます

私たちも死んでいくのでしょう


私たちはこの国に何をしてきたのでしょうか



私たちは この国に




ふさわしく生きてきたのでしょうか
  1. 2012/07/06(金) 19:12:29|
  2. 詩のやうな

秋の夕(ゆうべ)

時は秋、

日は夕(ゆうべ)、

夕(ゆうべ)は七時、

石垣に 雨露残り、

雲途切れ、星空のぞき、

草陰に、虫 死に損ないて、


神、野辺に 満ち満ち、

すべて世は 泡沫の如く。
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  1. 2012/07/06(金) 19:16:57|
  2. 詩のやうな

黄昏に

日は中天を過ぎて久しいが

地上では相変わらずな人間たちの
悲喜交々が繰り返されているらしい

千年前と変わらぬ喜怒哀楽が
延々と引き起こされ続けているらしい

それは
思考と思考の衝突であり
感情と感情の相克であるのかもしれない

しかし時々
虚無の前で 思考が煮立っている
闇黒を前にして 感情が泡立っている

そのように見えることもなくはない



日は傾き始めて久しいが

誰もが中天にそれを探し求め
幻を仰ぎ見ては手を伸ばす

思考も 感情も 移ろい行きながら
形を失うことを恐れ
訪れる空白を恐れ
耳障りな擦過音を立てながら墜ちて行く

過去にしがみつき
既知にすがりつく者たちは
砕かれることだろう
引き裂かれることだろう



移ろうことすら拒むなら
形を捨て去ることの何がわかるというのか



だから 拒まず変わりゆけ

せめて 恐れず移ろいゆけ




この日の 暮れる前に
  1. 2012/07/06(金) 19:21:02|
  2. 詩のやうな

狂気の行く末

弄ばれる空理空論
想念は現実から遊離し
生命は忘却された

踊り狂う ナルシストたち

閉鎖された思考回路
自然は空疎な虚構で埋め尽くされ
狂気は充填された

無限後退する螺旋回廊
ナルシストたちが踊りながら 後ずさる

追随するのは 誰か?
反駁するのは 誰か?
その身を殺すとも魂を殺し得ぬ者たちは 欺かれるであろう
身と魂とを滅ぼし得る者たちがすべての後始末をするであろう


渦巻く嘲笑は やがて
降り積もる憫笑に圧殺される
  1. 2012/07/06(金) 20:59:46|
  2. 詩のやうな

俺は知りたかっただけなんだ

俺は何処まで来たのだろう
帰り得ぬほど遠くまで来たような気もする
一歩も踏み出していないような気もする

俺は何処にいるのだろう
何処へ行くつもりだったのだろう

あぁ 目当てなどありはしなかった
行く先に何があろうと どうでもよかった


ただ 俺は知りたかっただけなんだ



  万物の




          意味を
  1. 2012/07/29(日) 01:13:48|
  2. 詩のやうな