絵空言 2013年06月

絵空言




一輪の花にすら 届かない

世界とは 何でございましょう


世界 と申しましても共同幻想としてのそれではございませぬ

個々人において認識された領域としての 世界でございます


思いまするに 世界とは秩序なのでありませぬか
いいえ これも観点の一つに過ぎませぬ

されどやはりこれは世界に関する一つの大きな要素を成していると思うのでございます


無秩序を 混沌を 世界と呼んでも構わぬのでありましょうが
ヒトが欲するのは秩序としての 世界でございましょう

ヒトが 混沌としての世界に そう簡単に耐え得るとは思えませぬ
おそらくは其処に秩序を構築することでございましょう
その秩序が虚構か否かは関係ありませぬ

えぇ 実を申せば秩序とは全て虚構なのではないかとわたくしは疑っておるのでございますが

論証もできませぬゆえその話は止めておくことといたしましょう


なれば何ゆえ ヒトは秩序を構築してしまうのでありましょうか

理屈をつけて 意味を付与するのでありましょうか


世間には実に様々な方がいらっしゃいます

中には渾沌にお住まいと見受けられる方もあるやもしれませぬ

されど 人様から見れば渾沌でありましても

御本人が意識されようとされまいと 其処には必ず秩序があるものでございます


何ゆえヒトは秩序を求めるのでございましょう

何ゆえヒトは渾沌を忌避するのでございましょう


混沌に直面するなら ヒトは簡単に狂うでありましょう

思うに世界とは秩序でありヒトなのではありませぬか
ヒトとは秩序であり世界なのではございませぬか

それゆえ本質的に渾沌とは相容れぬ存在なのではございませぬか


そうしてもしも


もしも


ありとあらゆる如何なる秩序も虚構であるのなら

ヒトもまた虚構であるやもしれませぬ…

此処に立ち止まって振り返るのであるならば

あなた様もわたくしめも 虚構であることを如実に知らされるのではありませぬか

少なくとも 秩序として認識されている限りにおいてではありますが


こんな話がございます


昔々 知恵の書を求めた男がおりました

転生を繰り返し 夥しい血の海の果てに

男はついに知恵の書を 手に入れました

されど其の書によって全知を得たその男は 

即座に自らの首を斬り落としたそうな


もし仮に 真理なるものがあったとしても

それがあなた様やわたくしめにとって都合のよいものでなければならない理由は皆無でありましょう


えぇ そうなのです

わたくしは疑っておるのでございます

真理とは渾沌なのではございませぬかと

世界は虚構に彩られ

わたくしたちは虚構に住し 虚構に死ぬのでございましょう

虚構に生れ 虚構の内に輪廻するのでございましょう

其処にはありとあらゆる喜怒哀楽

ありとあらゆる快苦の反復があるのでございましょう


…されど 其処には 真理がない


あなた様は違うと申されますか

わたくしめが間違っていると そう申されますか

そうなのやもしれませぬ

されどわたくしにはどうしても思われるのでございます


…ヒトとは 真理に耐えられぬ生き物をいう


そうしてわたくしは問わざるを得ないのです


渾沌において 何ゆえ 秩序が生まれたのでありましょうか

真理において 何ゆえ 虚構が生まれたのでありましょうか


此処に一つの解がございます

それは生れたのではありませぬ

秩序もまた渾沌

虚構もまた真理

色即是空 空即是色

えぇ あの短い経文は真実を語っておりましょう

秩序と混沌の 虚構と真理の分別が 意識の分裂を生み出しているのでございましょう

これが一つの解でございましょう


なれどわたくしにはわかりませぬ

色即是空

確かにそういうことなのやもしれませぬ

されどわたくしには わかりませぬ

色でも空でも何でもよいのでございます

実を申せば 秩序でも渾沌でも

虚構でも真理でも何でもよいのでございます

これが一つであれ二つであれ


しかしそもそもこれは一体 何なのでございましょうか

分別が生み出す意識の分裂がなければ それがわかるのでしょうか

こんなことを書いている限りは色即是空をわかっておらぬということなのでしょうか

色即是空の真意は 色もなく空もない ということなのではありますまいか




…と ここまで書いた時 誰かの呟きが聞こえたような気がした





「つべこべうるさい奴だな 


それを問うおまえが消えればよいだけのこと


さもなくば 一輪の花にすら 届かぬかと






霙模様



  1. 2013/06/11(火) 20:35:42|
  2. 詩のやうな
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絶対不可知

深い虚無の霧は薄らぎ
透明な不可知が何処までも続く

如何なる弁明も説明も成立し得ない
透明な
透明な
何処までも透明な 不可知が続く

私は 生きてはいるが生を知らぬ
やがて死ぬるが死を知らぬ
世界を
宇宙を
存在を 知らぬ
私は 私であるが私を知らぬ
認識はあるが認識を知らぬ
一切の対象は消え ただ不可知が残る

この不可知を あなたに知らしめようとは思わない
あなたに 私の何も伝わらずとも構わない

私は あなたがあなたに振り戻されることを望む
あなたがあなたの道を歩むことを願う

私が この不可知を徹底せざるを得ないように
あなたが あなたとして存在することを …私は祈る
  1. 2013/06/23(日) 02:29:27|
  2. 詩のやうな
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階梯

俺は何処にいる?
わからないんだ

このクソ長い階梯を上り始めたのはいつだった?
俺は何処まで上ったんだ?
ずっと上り続けて来たから
ずっと高くまで来たつもりなのだが
気のせいか?

下は遠くて見えやしねぇ
上は眩しくて見えやしねぇ

なぁ 俺は高くまで来たのかい?
それともちっとも上ってやしないのかい?
わからないんだ
なぁ おい 誰か答えろよ
こんな俺でも少しは上っているんだろう?
思っているよりずっとずっと高くに来てるのかい?
それとも上ってるつもりでずっとずっと下り続けて来たのかい?
まるでまったくわからねぇ

あぁ わかってる
わかってるよ
何処にも誰もいねぇ
仮に誰かいたところで そんなこた答えようもねぇ

あぁ 知ってるさ
知ってるよ
答なんてあるはずねぇ
仮にどんな答えがあったとしても俺には満足出来やしねぇ

わからねぇ
わからねぇ
わからねぇ
上りか下りかわかりゃしねぇ
何処に行くかもわかりゃしねぇ


…これはそもそも 階梯なのか?




  1. 2013/06/30(日) 22:06:47|
  2. 詩のやうな
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