絵空言




神拝詞(となえことば)

はらえたまい
きよめたまえ
かむながら
くしみたまい
さきわえたまえ

俺はねぇ人間には絶望したよ
とか勝手なことを口実に
出鱈目な酒を呑みながら
気づくと呟いている

はらえたまい
きよめたまえ
かむながら
くしみたまい
さきわえたまえ

何を言っているのだ 俺は
人間なんてどうでもいいのだ
存在なんてどうでもいいのだ
もう何もかも知ったことではない

頭の逝かれたことを
繰り返し
繰り返し
繰り返し
生々滅々だか
生成消滅だったか
何でもいいけどそれだけの話だ

明滅して
明滅して
俺たちは何をやっているのだ
どうせ虚空に漂うだけなら楽しくやりゃいいのに
こんなものが楽しいのか

わからねぇ
わからねぇ
趣味が合わねぇ
生きて死ぬだけなのに
ワケが分からねぇ
裸足で逃げ出したい気分だ

そうして黙り込んで
気づくと呟いている

はらえたまい
きよめたまえ
かむながら
くしみたまい
さきわえたまえ

神拝詞(となえことば)といったか

今更まったく何を祈っているのだか
今更いったい誰のために祈っているのだか
いや  俺じゃねぇ
逃げ出す算段を捏ねているような
そんな自分のために祈ってどうすんだか


祓え給い
清め給え
神ながら
奇しみ給い
幸え給え

・・・

奇しみ給い
幸え給え

・・・

幸え給え

・・・

誰のために祈っているのだか

・・・

ラム酒もウォトカも
あんなに甘かったのに
なんだか苦くなってしまった


テーマ:ヒトリゴト - ジャンル:小説・文学

  1. 2014/09/20(土) 21:33:59|
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