絵空言




夢現

僕たちは 相変わらずに
生きているつもりになっているけれど
もしかしたら僕たちはもう
滅びてしまったのかもしれません

いつまでたっても
戦争とか平和とか
理想とか現実とか
何だかバカみたいに煩いけれど
煩いばかりで現実は何も変わらずに
僕たちはもう
為す術もなく滅びてしまったのかもしれません

これら全ては
その死の刹那に僕らの脳が構築した 儚い夢で
誰もがみんな 同じ世界だと思って見ている拙い夢で

地球は もう何年も前に
隕石の衝突で
地軸の逆転で
巨大地震と破局噴火で
火と水によって清められたのかもしれません

これら全ては
燃え盛る炎の中で
渦巻く黒い水の中で
その死の間際に
僕らの見ている夢なのかもしれません

ならば次の瞬間 
気づけば僕らは地獄の中で死ぬのでしょう


けれども それを言うなら
僕は数年前のあの日
あの雪の谷に 滑落したのかもしれません

吹き溜まりに引っかからずに
そのまま数百メートル下の谷底まで
岩にぶつかりながら
雪を散らせながら
身を砕きながら
落ちて行ったのかもしれません

ならば今の僕は
谷底で死につつある僕の見ている夢なのでしょう
この数年の 出会いも別れも
喜びも後悔も この泡盛も
何もかもが 夢だったのでしょう

ふと気づけば僕は
雪に半ば埋もれ 感覚の消えゆく動かぬ体と 頬に感じる雪の冷たさに不釣り合いを感じながら
舞い散る雪の彼方に 黒々とした遥かな岸壁をぼんやりと見上げているだけなのかもしれません




もしもそうだとしたならば

なんて素敵なことでしょう・・・

  1. 2015/09/09(水) 07:19:39|
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