絵空言 2015年09月

絵空言




夢現

僕たちは 相変わらずに
生きているつもりになっているけれど
もしかしたら僕たちはもう
滅びてしまったのかもしれません

いつまでたっても
戦争とか平和とか
理想とか現実とか
何だかバカみたいに煩いけれど
煩いばかりで現実は何も変わらずに
僕たちはもう
為す術もなく滅びてしまったのかもしれません

これら全ては
その死の刹那に僕らの脳が構築した 儚い夢で
誰もがみんな 同じ世界だと思って見ている拙い夢で

地球は もう何年も前に
隕石の衝突で
地軸の逆転で
巨大地震と破局噴火で
火と水によって清められたのかもしれません

これら全ては
燃え盛る炎の中で
渦巻く黒い水の中で
その死の間際に
僕らの見ている夢なのかもしれません

ならば次の瞬間 
気づけば僕らは地獄の中で死ぬのでしょう


けれども それを言うなら
僕は数年前のあの日
あの雪の谷に 滑落したのかもしれません

吹き溜まりに引っかからずに
そのまま数百メートル下の谷底まで
岩にぶつかりながら
雪を散らせながら
身を砕きながら
落ちて行ったのかもしれません

ならば今の僕は
谷底で死につつある僕の見ている夢なのでしょう
この数年の 出会いも別れも
喜びも後悔も この泡盛も
何もかもが 夢だったのでしょう

ふと気づけば僕は
雪に半ば埋もれ 感覚の消えゆく動かぬ体と 頬に感じる雪の冷たさに不釣り合いを感じながら
舞い散る雪の彼方に 黒々とした遥かな岸壁をぼんやりと見上げているだけなのかもしれません




もしもそうだとしたならば

なんて素敵なことでしょう・・・

  1. 2015/09/09(水) 07:19:39|
  2. 戯言