絵空言




と或る夏の日

陽射しの強い道を歩き続けて
僕は何だかもう 疲れてしまつて
ふと 自分が今にも泣き出しさうな 
そんな顔をしてゐるやうな気がして
笑つてみようとするのだけれど
何だかもう あまりうまくも笑へない

僕は何を言へばいいのだらう
僕は何を伝へればいいのだらう

何もわからないから
僕は俯いて黙り込んでしまふ

街角の公園の樹々は
くつきりとした影を地に描いてゐた

強い光は 濃い影を生むのだらうか
生を生として強烈に生きるほどに
死もまた その者に深く刻まれるのだらうか

存在と云ふものを 見極めようとするほどに
虚無は 深みを増し 一切を塗り潰す

蝉の亡骸は いづれ踏まれて 粉々になるのだらう
さうして誰にも気づかれずに 土に返るのだらう


  1. 2016/09/02(金) 20:56:41|
  2. 詩のやうな

驟雨

雲の流れが 速い
風が雨の匂ひを運んでくる
僕は 何処まで来たのだらう…

いつもいつも 掴まうとする端から
何もかもが
僕の手を擦り抜けていつた

一人 草原の真ん中にポツンと立ち尽くし
躊躇つてゐる

帰れる世界など 疾うに消えてしまつたとわかつてゐるのに
躊躇ふなどと 愚かな話だとわかりきつてゐるのに

遠くの樹々が 狂つたやうに 風に揺らぎ
草々は波打ち 刻々と色を変えて往く

今度こそ しつかりと手にしたと思つてゐたのに
気付くと指の隙間から 零れ落ちて
僕の手は 空を握り締めてゐた

何故なのだらう
いつもいつも 僕には何も 残らない

雨足が近づき 通り過ぎて往く
白い飛沫に 世界が沈む
あゝ 僕と云ふものを このまま流し去つてしまへば良いものを

一体 僕は何を望んでゐたのだらう
何がどうなれば 僕は満足してゐたのだらう

渦巻く風
纏はり付く 土の匂ひ
振り切れない 昔日の思ひ

虚無の中で 僕は何故 

いつもいつも

何かを手にしたいなどと云ふウソを 吐いてゐたのだらう
望んでもゐない事を 望んでゐるフリを してゐたのだらう



雨は遠ざかり 彼方の峰々に 陽が射し始めてゐた

日の沈み切るまでに もう少し 先へ進める

僕は一人で越えて往かねばならないのだらう
あの峰の向う側へ…


  1. 2016/09/09(金) 19:29:36|
  2. 詩のやうな

カタチ

私と云ふ カタチ
過ぎて往く カタチ
世界と云ふ カタチ

カタチ
カタチ
カタチ

カタチばかりがカタカタと
移ろひ往きて 過ぎ往きて

歯車のやうに
哲学のやうに
カタカタと
カタカタと

変はり往きて 消え往きて
生まれ往きて 死に往きて

生命のやうに



宇宙と云ふ カタチ

神と云ふ カタチ?


あなたと云ふ カタチ


  1. 2016/09/19(月) 09:21:27|
  2. 詩のやうな