絵空言 2017年02月

絵空言




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守宮 (やもり)

守宮が壁を這つてゐる
誰もゐなくなつた家を見つめてゐる

重機が音を立てて
家屋を取り壊して行く
土埃の中
守宮はひつそりとそれを見つめてゐる

残された壁に
守宮が這つてゐる
月明りの中
瓦礫の山をじつと見つめてゐる
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  1. 2017/02/11(土) 20:59:00|
  2. 詩のやうな

深海模様

誰も知らない静かな海の底で
環形動物たちが虚無を吐き出してゐる
一心不乱に吐き出してゐる

陽の光の届かない遠い海の底で
貝たちは黙り込んで
蝦や蟹たちは気づかないふりをして

虚無が満ちてゆく

泳ぎ回る魚や鯨はやがて蝕まれ
溶けて
落ちて来る
落ちて来る

僕はまるで貝のやうに口を閉ざし
降つて来る魚や鯨の断片を眺めてゐる

さうして船が降つて来る
街が降つて来る

陸地が
溶けて
崩れて
降つて来る

あゝ虚無が地上を覆ひ尽くしたのだらう
人間たちは抗ふ術もなく呑み込まれたのだらう


蝦や蟹たちが降つて来た断片を忙しなく漁つてゐる


  1. 2017/02/18(土) 15:04:00|
  2. 詩のやうな

我が影の名

鈍色(にびいろ)の影
我を導き
我に従ひ
我に纏はり離れぬ者


鈍色の影
そは我が影にして
我を滅ぼす者

我が友にして
我を蝕み殺す者


我が鈍色の影

汝の名は虚無



  1. 2017/02/21(火) 21:59:56|
  2. 詩のやうな

喪失

春まだ浅き
沈丁の香に
思ふ君は遠く
私は過ぎし日を見失ふ

風冷たき
蒼天に
思ふ残雪の峰は遠く
私は己を見失ふ

失ひて
失ひて
失ひて後に
残された私は
すでに誰でもなく
都会の雑踏に
紛れて消える


  1. 2017/02/26(日) 21:53:00|
  2. 詩のやうな
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