絵空言




子猫の見る夢

緩い陽射し
冷ややかな風

ひび割れたアスファルトの上で
君は 静かに目を閉じて

二度と醒めない夢を見る

千切れた記憶を
つぎはぎに繋いで

深い淵を 渡る夢




淵を泳ぐ海豚たちは 君を見上げて 一緒に泳ごう と 微笑むだろう

月は 群青の中天に掛かり 君を優しく照らすだろう

けれども 君は
その小さな足で 細く頼りない架け橋を
力一杯 駆けて行く

疲労も空腹も 消え失せて
骨に沁みる寒さも 皮膚を焦がす暑さも 後にして

君は 脇目も振らずに 駆けて行く

風に踊る緑
木洩れ陽の戯れ

少しばかりの懐かしさを手放して

誰も知らぬ   無可有の夢へ

還る者無き   無可有の彼方へ




金木犀の幽かな気配
空は何処までも高く

埃まみれの道の片隅に
君は 眠るように 横たわり

片道切符の 夢を見る

思い出の切れはしを
モザイクに繋いで

遠い空を  越える夢・・・




テーマ: - ジャンル:小説・文学

  1. 2010/10/03(日) 15:18:52|
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