絵空言




少しづつ 死ぬ


今日  散歩から 帰る途中でね

僕の心臓が  

冷たくなっていくんだ

気がついたら  凍りついてて

真っ白に なってた

あわてて温めようとしたら

落としてしまって

心臓は

アスファルトの路面で

砕けて  粉々になって

ばら撒かれてしまったんだ


硝子の破片のような その欠片を

掻き集めて

拾い集めて

両の手のひらで包んで

なんとか形作って 温めてみたけど

どうしても

元に 戻らないんだ


欠片は 指の隙間から さらさら零れ落ちて

濁った空気に 溶けてくみたいで

結局 道路にも 僕の手にも 何も残らなかった


僕は 少し ぼんやりしてから

そのまま 帰ったんだ

立ち上がったら 

少し 立ち眩みがしたんだけどね

やっぱり 僕は そのまま帰ったんだ


たぶん このくらいのことは

もう 何でもなくなってしまったんだろう

少しづつ 失って

少しづつ 感じなくなって

僕は 少しづつ 死んでいくんだろう


でも 僕は

なんだか 僕は

そんなふうにして 死んでいくことにすら

もう 何も 感じなくなってしまったみたいだ




テーマ:ヒトリゴト - ジャンル:小説・文学

  1. 2010/11/03(水) 21:44:31|
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