絵空言 視線

絵空言




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視線



地震で外に避難した時 
私は 揺れる電信柱の向こうに
空を 眺めていた

天災や人災で 地上が 掻き回されて 
海岸線が変動して 何万人も死んで
人間たちが 地べたを這いずり回って それでも生き延びようと足掻き
例えば 私なんかも 瓦礫の中で死にかけて ぼんやり空を眺めているとする

例えば そんなふうになったとしても 
空にはまったく 何の関係もないんだろう

そんなことを 思っていた

いや 空を擬人化したわけではなく 鳥に憧れたわけでもない
ただ 空は素知らぬ顔で 五年前や 十年前や 俺の生まれる前と同じに 
そこに在るんだろう

そんなことを 思っていた

勿論 気象変動もあるだろうし 浮遊物質の内容も変わるだろうが
空そのものにとって そんなことは まったく知ったことではなくて
空は 此処に接しているにも関わらず 此処とは まったくの無関係に まるで別の宇宙のように 隔たったままに
そこに在るんだろう

そして その時 私はそこに 何かの 存在を感じていた
存在?何らかの生命存在に例えることなどできようもない むしろ無機的な “領域” に近い感覚
しかし 私は そこからの 視線を感じてもいた

何処も見てはいない視線

地上に蠢き渦巻く無数の情動
因果の鎖に縛り付けられた無数の事象
それらを完全に素通りしている視線

私の存在など 無に等しいと
強制的に 認識させられる視線

そんな視線を




そして 私は 憧憬していた

その 領域を



そして 私は  感じていた

私が 今 此処に いるという


強烈な 違和感を


テーマ:ヒトリゴト - ジャンル:小説・文学

  1. 2011/04/03(日) 17:33:48|
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