絵空言 或る日の或る詩

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或る日の或る詩

或る日、あたしは詩を書いてみた。
うまく書けなかった。
(・・・冗長で、くだらないな。捨てるか。また時間を無駄にしてしまった。)
けれども、いつも遊びに来る友人が、これを見つけて、褒めてくれた。
「すばらしいじゃない」
「そう?じゃ、あげるよ」
ちょっと言ってみたら、不思議なことに友人はそれを喜んで持って行った。

独りになって、少し、考える。変なこともあるもんだ。
嬉しくとも何ともなかったが。


ところが、驚いたことに、一週間後、友人はそれを勝手にあたしの名前で発表して、原稿を返してきた。
(ったく。勝手なことしてんじゃねぇよ。ブログにでも載せておくか。)
ブログに載せてみると、驚いたことにアクセスランキングは急上昇。読んだ人みんなが称賛のコメントを送ってきた。
(な、なんだなんだ?どうなってんだ?こんなものが流行るのか。世間はよくわかんね。いつものことだが。)

「新聞に載せてもいいですか?」
   「教科書に載せたいのですが?」
           「詩集を出版しませんか?」
(騒々しいな。)
あたしの詩は、独り歩きを始めた。

世のお偉方がみんな揃って、褒めてくれた。
みんな同じようなことしか言わないので、何と言ったのかは忘れた。
ナントカいう賞やカントカいう賞ももらった。
各国語に翻訳され、世界中の人々が読んだ。
そして、世界的な、ノーナシ文学賞とかいうのをもらった。
まったく納得できなかったが、お金をくれるというので、もらっておいた。


授賞式から帰ると、部屋のゴキブリが褒めてくれた。
「いい詩だね。」
床のダニたちが、称賛した。
「地球史に残る詩だね。」
あたしは少し、眉間に皺を寄せてみた。

机も椅子も壁も、あたしの着ている服も、あたしの詩を褒めてくれた。
「すごいじゃないか。」
あたしは少し、作り笑いをしてみた。


やがて。


噂を聞きつけた、シリウス第四惑星の客人たちが、わざわざあたしの部屋まで来て、こっそり褒めてくれた。
「銀河史上、最も麗しく輝かしい詩だね。」

あたしの詩は、銀河中で読まれることになった。
何故なのか、は、あたしにはまるで分らなかったけど。

そしてついに噂は銀河を超えて広がったらしい。おとめ座銀河団NGC4639の最高意思決定機関が、あたしを招待してくれたのだ。
あたしは七千八百万光年ばかし転送されて、無数の異星人の前で、その詩を歌わされた。
あたしは歌いたくなかったけど、仕方なかった。ただ、つぶやくだけで、彼らには聞き取れるらしいので、とりあえずモソモソとつぶやいてみただけだったが。

「これは、宇宙開闢以来、至高にして至純な詩ではないか?」

全宇宙が、あたしの詩を褒め称えた。
万物が、その詩を褒めちぎり、涙を流した。
森羅万象すべてが、その詩を歌い、その詩とともに生き、死んだ。
但し、あたしを除いて。
尤もあたしの肉体は宇宙に属していたけど、あたしには逆らえなかったので、不機嫌そうに黙り込んでいた。

あたしだけが、あたしの、その詩を歌えなかった。歌っても、まるで楽しくなかったから。


あたしは、あたしの小さな部屋に帰り、小さな詩を書いてみた。
うまく書けたので、独り、ニヤニヤする。
口ずさんでみると、とても嬉しくなったので、ブログに載せてみた。
拍手は一つも来なかったけれど、あたしは満足して、ぐっすり眠った。
  1. 2010/07/15(木) 18:31:55|
  2. お話
  3. | コメント:2
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コメント

お久しぶりです♪(^^)
久しぶりにお邪魔して。。。ユキワリソウさんの世界でたくさん遊ばせていただきました。
楽しかった~~~♪
ありがとうございます♪。。。v-237
  1. 2010/07/18(日) 02:16:20 |
  2. URL |
  3. 夢ねこ★ #-
  4. [ 編集 ]

Re

お久しぶりです。夢ねこ★さん。
お元気でしたか?
いやいやいや、
変てこりんなことばっか書いてるものでf^_^;)
楽しんで頂けて幸いです。
ではでは。
  1. 2010/07/18(日) 06:18:58 |
  2. URL |
  3. ユキワリソウ #-
  4. [ 編集 ]

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