絵空言




河原にて

石ころだらけの河原に一人 しゃがみ込んで
あたしはあたしの世界を積み上げている

河原に散らばる流木を削って
平らな石の上に 積んでいくんだ

・・・あたしは どんな世界に住んでいたんだっけ
ああして こうして これがこうなって これをこうして
何が何だか どうにも思い出せないな
こんな感じかな?だいぶ違う気もするけど
これはこれで いい感じ
もうちょっとで完成だ

あれ また足音がする
また?前にもあったっけ?こんなこと
微かな既視感 まぁ いいか

足音が近づいてくる

振り仰げば 鬼が あたしのいることにすら気付かぬ様子で歩いていく
あ  あああ あたしの世界が 世界が
鬼は 踏んだことにすら気が付かない
あたしの世界は 粉々に砕けてしまった

黒い川は素知らぬ顔で流れて行く
見上げれば 暗褐色の空
此処の空は 蒼くはないのだな
蒼い空が 懐かしい

蒼い空?
蒼い空は 何処だっけ?
なんで あたしは此処にいる?
何が何やら どうにも思い出せないな
何だか 大事なことも忘れてるみたいだけど
でも まぁ どうでもいいや

あたしはあたしの世界を 創らなきゃ

世界を創れば きっと思い出せるよ  何もかも



生臭い風の吹く河原に一人 しゃがみ込んで
あたしはあたしの世界を積み上げている

河原に散らばる流木を削って・・・
  1. 2010/08/23(月) 19:12:34|
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