絵空言 師匠とその弟子 2

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師匠とその弟子 2

…何処からともなく浮かび上がる対話のような。



「お師匠様、お師匠様は最近、救世主と呼ばれているのを御存知ですか?」
「ん?」
「救世主です。」
「…救世主?何だ、そりゃ。」
「世を救うのです。」
「世って、何。」
「世とは人です。」
「救うって、何。」
「遍く人々の苦を取り除くのです。」
「は?」
「はと申されましても。」
「…なんで私がそんなことをする?」
「お師匠様が神の子だからです。」
「お前…バカだろ。私が何度人の子だと言ったらわかるんだ?」
「でもお師匠様は食べものを増やし飢えを満たしました。嵐を鎮め、ガリラヤ湖の上を歩かれました。
病を癒し、死人を生き返らせました。神の子でなくては出来ません。」
「うーん。あれは失敗だったかな…あれはねぇ、君ら自身の世界認識への自己同一化にヒビを入れるつもりでやったんだけど。」
「わかりません…お師匠様でも失敗するのですか?」
「いろいろあるさ。」
「でもお師匠様は救世主ですよね?人々の苦を取り除くために」
「いや、そんなことは知らん。苦なんてものは自分で蒔いた種を育てて刈り取っているだけだ。
他人の苦の除去が可能だとも必要だとも思わんな。好き勝手にやってることだ。放っておけばいい。…もし必要だとしても、そもそも、お前を含めて、人の話、聞いてないだろ。だから不可能なんだな。」
「話は聞いてます!」
「そうかぁ?」
「救世主でないなら、…じゃあ、お師匠様は此処で何をなさっておいでなのですか?」
「バランスだよ。」
「善悪の、ですか?」
「いや。喧騒と静寂の、だ。」
「わかりません。…お師匠様が救世主でないなら、私は弟子をやめようと思います。」
「ああ。勿論、好きにすればいい。」
「……。やっぱりもう少し弟子でいさせてもらいます…」
「勝手にしろ。」
「…お師匠様は人の子だとおっしゃいます。でも私たちとは何か違います。お師匠様にはエゴもカルマもなくて、ただ慈悲ゆえに地上を歩かれます。」
「いや、全然違うね。やっぱりどうにもなんか勘違いしてるな…。
私にはエゴもカルマもあるよ。
ただ、焦点が違うんだけなんだな。自我やカルマに焦点を合わせるのではなく、その背景に焦点を合わせてみな。
エゴもカルマもお前自身だが、その背景も勿論、お前自身だ。
んー、背景に焦点を合わせるというよりも何にも焦点を合わせないと言った方がいいのかなぁ?
まぁね、エゴもカルマも苦も、焦点を合わせるから増長する。
焦点を合わせなければおとなしいもんだ。
あまりにも焦点を合わせないでいると、時が満ちた時に枯れちまうけどな。
エゴもカルマも苦も何もかも枯れる。
その時は同時に、地上での姿も消える時なんだけどね。」



  1. 2013/12/20(金) 17:19:43|
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