絵空言




と或る夏の日

陽射しの強い道を歩き続けて
僕は何だかもう 疲れてしまつて
ふと 自分が今にも泣き出しさうな 
そんな顔をしてゐるやうな気がして
笑つてみようとするのだけれど
何だかもう あまりうまくも笑へない

僕は何を言へばいいのだらう
僕は何を伝へればいいのだらう

何もわからないから
僕は俯いて黙り込んでしまふ

街角の公園の樹々は
くつきりとした影を地に描いてゐた

強い光は 濃い影を生むのだらうか
生を生として強烈に生きるほどに
死もまた その者に深く刻まれるのだらうか

存在と云ふものを 見極めようとするほどに
虚無は 深みを増し 一切を塗り潰す

蝉の亡骸は いづれ踏まれて 粉々になるのだらう
さうして誰にも気づかれずに 土に返るのだらう


  1. 2016/09/02(金) 20:56:41|
  2. 詩のやうな