絵空言 驟雨

絵空言




スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

驟雨

雲の流れが 速い
風が雨の匂ひを運んでくる
僕は 何処まで来たのだらう…

いつもいつも 掴まうとする端から
何もかもが
僕の手を擦り抜けていつた

一人 草原の真ん中にポツンと立ち尽くし
躊躇つてゐる

帰れる世界など 疾うに消えてしまつたとわかつてゐるのに
躊躇ふなどと 愚かな話だとわかりきつてゐるのに

遠くの樹々が 狂つたやうに 風に揺らぎ
草々は波打ち 刻々と色を変えて往く

今度こそ しつかりと手にしたと思つてゐたのに
気付くと指の隙間から 零れ落ちて
僕の手は 空を握り締めてゐた

何故なのだらう
いつもいつも 僕には何も 残らない

雨足が近づき 通り過ぎて往く
白い飛沫に 世界が沈む
あゝ 僕と云ふものを このまま流し去つてしまへば良いものを

一体 僕は何を望んでゐたのだらう
何がどうなれば 僕は満足してゐたのだらう

渦巻く風
纏はり付く 土の匂ひ
振り切れない 昔日の思ひ

虚無の中で 僕は何故 

いつもいつも

何かを手にしたいなどと云ふウソを 吐いてゐたのだらう
望んでもゐない事を 望んでゐるフリを してゐたのだらう



雨は遠ざかり 彼方の峰々に 陽が射し始めてゐた

日の沈み切るまでに もう少し 先へ進める

僕は一人で越えて往かねばならないのだらう
あの峰の向う側へ…


  1. 2016/09/09(金) 19:29:36|
  2. 詩のやうな
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。