絵空言




混線

「α(アルファ)聞こえるか?此方 Ω(オメガ) α 応答できるか?」
「此方 α…良く聞こえない…至急…」

「調子はどうだね」
「ダメだな」
「さうかね」
「それだけかよ」
「おまへさんはいつもダメだなしか言はん」
「ダメなもんはダメだ」

「混線してゐるのか?α ダメと云ふのは何だ?状況を報告せよ!」

「申請書は出したのかね」
「いや…無駄だらう」
「許可は出ると思ふがね」
「上は甘いからな 許可はすぐ下りるだらうし志願者もゐるだらうが…
計画自体が無駄な気がしてならん」
「さうかね」

「いや無駄ぢやない…Ω 支援要請する すぐに空軍を送れ…まだ間に合う 座標は…」

「今まで何人送つたと思ふ?それで此のザマだ」
「諦めるのかね もう一度やつてみてはどうかね」
「…おまへはどうしてさうも楽観的なのかね
現実を見てゐないのかね」
「見てゐるさ
…迫害 黙殺 取り違ひに稚拙な模倣
さう云ふのばかりだといふのだらう?


「α 何を云つてゐる?送つたと云ふのは何だ?
おい勝手に諦めるな!状況はどうなつてゐる?」

「志願者たちは実際よくやつてくれたよ
文句ひとつ云はずに黙々と救世主を演じてくれたからね
にも関はらず効果はさつぱりだ 何故だと思ふ」
「受け手の問題だらう」
「分かつてゐるぢやないか」

「Ω 何も分かつてないぞ…至急援軍を要請する 至急だ 今すぐだ!」

「そもそもそれが目的で此の惑星に転生してきてゐる奴自体が少ないからね
争ふばかりで関心も何もないのは仕方ないだらう」
「でもあれだぜ 大枠の仕組は上からきてゐるから全ての者に影響するのだぜ
でなければこんな計画は要らんだらう」
「なのにもう申請はしないのだね」
「あゝさうだな…前回ので打ち切りだ」

「おい打ち切るとは何だ それは撤退命令か?」

「ふむ…本気で計画を破棄するのか…全滅するぞ」
「いや破棄ぢやない…変更だ」
「でも救世主は送らないのだらう?」
「送らないが前任者たちが文字に種を仕込んでおいたからな
その種が芽吹くやうに確率を操作する」

「破棄?全滅?いやいやいや全滅してない どう云ふ事だ?
何があつた?
作戦を変更するのか?指示は? Ω 応答せよ!」

「ふむ…外から送り込むのではなく内から芽吹かせて育てるのか」
「さう云ふ事だ…救世主の影響力を使はうと思つてゐたがそれがダメなら一人ひとりに直接働きかける他あるまい」
「不確実な多数よりも確実な少数を選ぶのか 最後の賭けだな」
「その少数が確実なのかも怪しいけどな 他に手を思ひつかん」

「他に手が無い?Ω どうした?支援さえあれば取り返せる…」

「上は何か云つてゐるのか」
全面的に協力すると云つてゐたよ
まあ期待値の大幅な引き下げは避けられないね」
「次の文明に繋がりさへすれば計画としては十分だからな…実数が確保できれば移行係数に拘る意味はあるまい」

「部隊を引き下げる?拘る意味がない…だと?
司令部が俺たちを見捨てたのか?!」

「仕方ないな」
「あゝ仕方ないな」





「仕方なくねえよ!!」


  1. 2016/12/25(日) 00:00:00|
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