絵空言 望郷

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望郷

ふらりふらりと月と星の合間を歩いている
この月は 僕の星のあの月じゃない
いつからだろう
ふらりふらりと闇の中 
無数の銀河を眺めつつ 
ふらりふらりと彷徨っている

「そうなの?僕らと一緒だね」

違う 違う 違う
彷徨っているんじゃない
僕は家に帰るんだ
あと何万年かかるか知らないけれど
僕は帰らなきゃいけないんだ
当てもなく彷徨っている君らと同じにするなよ

別に宇宙の広さに圧倒されてるわけじゃない
ただ ちょっと 僕の家がどの銀河にあったのか 
思い出せないだけなんだ
どの銀河にあったのかさえわかれば
それさえわかれば星は きっとすぐに見つかる
家に帰れる
僕は家に帰れるんだ

「君の星はもう燃え尽きているかもしれない 僕の星と同じように」

「あなたの星はもう砕け散っているかもしれない 私の星と同じように」

そんなの そんなの 
帰ってみなきゃわからないじゃないか

「おまえの星はおまえのお仲間が壊してしまったかもしれない 俺の星と同じように
それでおまえは 当てのない旅に出たんじゃないのか 俺らと同じように」

違う 違う 違う
そんなんじゃない
よくは憶えてないけど
そんなんじゃないんだ 
僕は家に帰るんだ

懐かしい筈の思い出は
薄れて行くばかりで 
まるで僕の記憶ではないかのようだけど

あの星の
あの島の
海が見えるあの家に
僕は帰らなきゃいけないんだ





「ねぇ 本当のこと 教えてあげた方がいいんじゃない?」

「んー  どうかな?俺にはちょっと言えないねぇ  
君の星が属していた銀河系は 君の時間基準で言えば二万年前の俺らの予備実験の一つで消滅しました  
実験は大成功で 君の銀河系は塵芥一つ残さず 完全に事象の地平面の向こうに吹っ飛ばされました
おめでとう 君はその銀河の唯一の生き残りです    なんてさ」



   

テーマ:奇妙な物語 - ジャンル:小説・文学

  1. 2010/05/16(日) 06:41:10|
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  3. | コメント:0
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